保険適用の矯正
矯正治療が保険適応
となる場合
矯正治療は一般的に保険適用外の自由診療ですが、下記の場合に限り保険診療の対象となります。
1、「別に厚生労働大臣が定める疾患」に起因した咬合異常に対する
矯正歯科治療
- 唇顎口蓋裂
- ゴールデンハー症候群(鰓弓異常症を含む。)
- 鎖骨頭蓋骨異形成
- トリーチャ・コリンズ症候群
- ピエール・ロバン症候群
- ダウン症候群
- ラッセル・シルバー症候群
- ターナー症候群
- ベックウィズ・ウイーデマン症候群
- 顔面半側萎縮症
- 先天性ミオパチー
- 筋ジストロフィー
- 脊髄性筋委縮症
- 顔面半側肥大症
- エリス・ヴァンクレベルド症候群
- 軟骨形成不全症
- 外胚葉異形成症
- 神経線維腫症
- 基底細胞母斑症候群
- ヌーナン症候群
- マルファン症候群
- プラダー・ウィリー症候群
- 顔面裂(横顔裂、斜顔裂及び正中顔裂を含む。)
- 大理石骨病
- 色素失調症
- 口腔・顔面・指趾症候群
- メビウス症候群
- 歌舞伎症候群
- クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群
- ウイリアムズ症候群
- ビンダー症候群
- スティックラー症候群
- 小舌症
- 頭蓋骨癒合症(クルーゾン症候群及び尖頭合指症を含む。)
- 骨形成不全症
- フリーマン・シェルドン症候群
- ルビンスタイン・ティビ症候群
- 染色体欠失症候群
- ラーセン症候群
- 濃化異骨症
- 6歯以上の先天性部分無歯症
- CHARGE症候群
- マーシャル症候群
- 成長ホルモン分泌不全性低身長症
- ポリエックス症候群(XXX症候群、XXXX症候群及びXXXXX症候群を含む。)
- リング18症候群
- リンパ管腫
- 全前脳胞症
- クラインフェルター症候群
- 偽性低アルドステロン症
- ソトス症候群
- グリコサミノグリカン代謝障害(ムコ多糖症)
- 線維性骨異形成症
- スタージ・ウェーバ症候群
- ケルビズム
- 偽性副甲状腺機能低下症
- Ekman-Westborg-Julin症候群
- 常染色体重複症候群
- 巨大静脈奇形(頸部口腔咽頭びまん性病変)
- 毛 ・鼻・指節症候群(Tricho Rhino Phalangeal症候群)
- 他顎・口腔の先天異常
2、前歯及び小臼歯の永久歯のうち
3歯以上の萌出不全に起因した
咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするものに限る。)に対する矯正歯科治療
3、顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る)の
手術前・後の
矯正歯科治療
なお、これら保険適用される矯正歯科治療を行える医療機関は、厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関のみになります。
顎変形症の種類
下顎前突症 ・・・
受け口、下顎が前に出ている
開咬症 ・・・
前歯で咬むことができない、前歯が当たらない
上顎前突症 ・・・
上あごが前に出ている
上顎後退症 ・・・
上あごが後ろに引っ込んでいる
下顎後退(小下顎)症 ・・・
下あごがない、後ろに引っ込んでいる
顔面非対称症 ・・・
顔や顎が曲がっている
顎変形症の症例
症例①
主訴 | 下の前歯が出ている |
---|---|
主な症状 | 下顎前突・反対咬合 |
年齢 | 22歳男性 |
主要装置 | 表側マルチブラケット装置・下顎枝矢状分割術 |
抜歯の有無及び部位 | 非抜歯 |
治療期間 | 2年3か月 |
費用 | 保険点数に準ずる |
リスクと副作用 | 歯肉退縮・歯根吸収・知覚過敏・術後後戻り |
症例②
主訴 | 前歯が当たらない |
---|---|
主な症状 | 開咬 |
年齢 | 17歳女性 |
主要装置 | 表側マルチブラケット装置・下顎枝矢状分割術 |
抜歯の有無及び部位 | 非抜歯 |
治療期間 | 2年6か月 |
費用 | 保険点数に準ずる |
リスクと副作用 | 歯肉退縮・歯根吸収・知覚過敏・術後後戻り |
症例③
主訴 | 口元が出ている |
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主な症状 | 上下顎前突 |
年齢 | 28歳女性 |
主要装置 | 表側マルチブラケット装置・ 上下顎前歯部歯槽骨切術 |
抜歯の有無及び部位 | 上下左右第一小臼歯(計4本) |
治療期間 | 1年10か月 |
費用 | 保険点数に準ずる |
リスクと副作用 | 歯肉退縮・歯根吸収・知覚過敏・術後後戻り |
顎変形症(外科矯正)治療とは
通常の矯正治療との違い
あごが上下・左右・前後に大きくずれている状態を「顎変形症」といいます。
これは上下のあごの骨そのもののバランスの不調和に原因がある不正咬合です。
こうした不正咬合の場合、前歯で咬み切るなどの本来の機能が損なわれていることが多く、見た目にもコンプレックスを抱えることもあります。
骨の成長がとまっている大人は、矯正装置だけでは良好な咬合関係を得ることは難しくなります。
そこで矯正歯科治療に外科治療を組み合わせ、骨の位置を調整する治療法を「外科的矯正治療」と呼びます。
顎変形症(外科矯正)治療の
メリット・デメリット
メリット
- 矯正治療単独では治せない症例でも治療が可能
- 顔貌などの改善が期待できる
- 保険診療である
デメリット
- 全身麻酔による手術が必須
- 入院しなければならない
- 手術後のリハビリなど、体に負担がかかる
顎変形症(外科矯正)
治療の流れ
- 初診
- 精密検査
- 術前矯正
- 外科手術
- 術後矯正
- 保定
入院期間
入院期間は概ね1~2週間となります。
費用と健康保険について
最初に総額を提示できる自由診療とは違い、通院ごとの処置内容によって毎回の治療費が異なりますので窓口での料金は一定ではありません。
また、総額も通院回数や期間によって変化いたします。
当院での窓口負担額は保険診療3割負担で毎回1,500円~3,000円程度となりますが、診断、装置装着、装置撤去のときなどは2〜3万円になる場合があります。
別途、手術及び入院費用が必要となります。連携している病院でのお支払いとなり、下顎のみの手術で約30万円、上下顎の手術で約40〜50万円が目安となります。
高額療養費制度を使用することができますので、一般的な所得水準であれば、自己負担は10万円以下となります。また、ご加入の生命保険によっても給付対象になる場合があります。